第5回「夢ある限り努力は無限大 元気が取り柄です」
茨城ゴールデンゴールズ 片岡安祐美選手

さぁさぁ、ついにやってきました。陸上競技以外の種目です。

つくばといえば、茨城といえば、欽ちゃん球団こと「茨城ゴールデンゴールズ」ですね。

今回は、紅一点、片岡安祐美選手の登場です。




− 野球とのかかわり −

野球をはじめたのは小学校3年生。野球に魅了された彼女は、中学校でも野球を続けた。サードからセカンドにコンバートされた片岡選手はレギュラーとして活躍した。高校進学後、高校野球連盟の規約により公式試合に出場できないのだが野球部にの門を叩き、3年間プレーしている。しかしこの時、女子硬式野球日本代表に選出され世界大会に出場した経験を持つ。

中学、高校時代の当時を振り返って

「周りの女の子が髪の毛を染めたりとかしていくなかで、私はそういうのがまったく目に入らないくらい『野球』でした。とにかく野球をしてました!」

と満面の笑みで話す。その話しぶりからも、本当に野球が大好きなのがよくわかる。



― 女だからとか考えてグランドに立ったことは一度もない  ―

さすがはアスリート、と感じるところが言葉の随所に見られる。

 −さすがに真っ黒に焼けてますね。僕も黒いってよく言われるんですけど、僕より黒いですよ。

「そりゃぁ野球してるから当たり前ですよ。左手はグラブをしてるんでそんなでもないですけど。あっ!でも顔だけは化粧品のCMの効果で美白です(笑)、あれは頑張りました☆」

また、女性の野球選手ということで何かとメディアで取り上げられ、注目されることについて彼女はこう話す。

「野球を始めたときから、女の子だから、女の子のくせに、とかは言われてきたけど、自分がグランドにいるとき自分が女、男なんて考えたことは一度もないです。最初の頃は確かにヘコミましたけど、そういうことも含めて今の自分があるわけですから、女だからどうとかは関係ないですね。前向きに捉えています。元気だけが取り柄ですから(笑)」

競技スポーツの世界に身を置く厳しさも知っている、そして自分がプレーする環境を整えるための準備も怠らない。彼女は現在、流通経済大学経済学部に在籍し、教員免許の取得も目指している。彼女に将来の目標について聞いてみた。

「アスリートは、もしかしたら今日でプレーできなくなるかもしれないわけです。それがアスリートの世界ですよね。私はできる環境があるなら続けたいし、何らかの形で野球に関わりたいと思っています。それにやりたいこと、やってみたいことはたくさんあります。でも、もし『資格がないから、勉強してなかったからダメでした』なんていうのは絶対に嫌なんです。私は、野球をいつも区切りでやってきました。小学校の3年間、中学校の3年間、高校の3年間と。そして、今は社会人クラブでまた4年間やらせてもらっている。いつも「最後の」と捉えています。そして今も含めて、できる環境があるからそのときを一生懸命やるんです。なので将来については考えなくてはいけないけど、考えないようにしています。でもきちんと対応できるように、大学に行ってちゃんと勉強して、いろんなことができるように準備しています。父との約束でもあるんです。こっちに出てきて勉強するなら、教職を取って、必ず4年で卒業するって。」


― 「安祐美変わったね」って言われたら・・・自分のスタイルを貫く ―

野球をはじめたときから周囲にいろいろ言われてきた。それでも、野球が好きという想いや自分の信念をもってずっと続けてきた中で彼女なりの考え方がある。

「私は流されるのが嫌いなんです。周囲でいろいろ言われたりもしますけど、私は私のスタイルを貫きたいんですね。熊本に帰ったとき、見た目がどうとかではなくて、話をして『安祐美変わったね』って言われたらもう野球する資格ないかなって・・・。そうしたら熊本で親孝行しなきゃなって思います。一人の野球人として、自分らしさを失くしてしまったら野球を辞めて親元で親孝行です。私は頑固ですからね。頑固、強がり、意地っ張りです(笑)。」

しかし、彼女の話や考え方には芯が通っている。それがゆえに、好きな言葉がある。「夢ある限り、努力は無限大」という言葉だ。

「夢って言葉が嫌いです。夢は夢のままで終わるから。」という松坂選手の言葉にも、「それは一流の、本当に一流だから言える言葉だと思うんです。まず夢を持つことが大事だと思うんです。そして夢があるから、その夢に向かって、実現するためにどうするかを考えるんですよね。だから、私も夢は叶えるものだと思うけどまず夢を持つことが大事だと思うんです。」

常に夢に対してどうしたら実現するかを考えて活動してきた片岡選手らしさがこんなところにも見え隠れする。


― 日本の女子野球のレベルアップのために ―

片岡選手が注目されるようになってから、全国で女子選手が多く見られるようになった。片岡選手自身、よく「片岡選手のようになりたい、目標です」という言葉を耳にする。それについて片岡選手は「目標になるのはありがたいがそれだけでは駄目だ」と言う。

「私を目標にしてくれるというのは嬉しい言葉です。でもそんな子どもたちには必ず言います。私が目標ではダメ、私を越えてくれないと困る。じゃないと女子野球のレベルがそこまでで止まってしまうから。もっと高いレベルにするためには、私を越えて欲しいって。」

しかし、追い越してほしいという言葉を、同時に自身の糧ともする。

「『私を越えて』とは言いますけど、当然、私自身も黙って見てるわけじゃなくて、抜かれないようにもっと高いレベルを目指して日々プレーしています。そうすることで女子の野球がレベルアップしていくはずですから。」

と自分自身をさらに高めるとともに日本の女子野球についても考えているのだ。この広い視野で物事を捉える姿勢はチームのことについても同じだ。

「私が活躍する、ということは大事かもしれないけど『チーム』が負けたらまったく嬉しくないです。逆に私が活躍しなくてもチームが勝てばめちゃくちゃ嬉しいです。やっぱりチームとしてやっているんだから、自分よりもチームですよね。」

そしてチームとしての目標では

「日本一のクラブチームになることです。クラブ選手権、都市対抗ですね!」と強く語る。


― メッセージ 〜感謝の気持ちを〜 ―

「いつも私が中学生とかに話をするときに言うのは『感謝の気持ちを忘れないで』ということです。ご飯が出てきて当たり前、洗濯してくれて当たり前、って思いがち。でもそれは違うんだよと。お父さんが働いて部費を払ってくれるからできるんだ、お母さんが朝早く起きてご飯を作ってくれて、試合の時にはお弁当とか。そういうことがあるから、今、自分たちができているんだという感謝の気持ちだけは絶対に忘れないでほしいです。」



<文:武田 理>
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